コイルばね製作と工具について
1.手巻きによるばね製作
ばねを作る職人さんは、芯金の太さ、巻き付ける間隔などを調整して、目的のばねを製作します。
現在では、機械化が進みNC制御(数値制御)の自動コイリングマシンによるばね製作が主流となりましたが、国家資格である金属ばね製造技能士検定試験では、いわゆる「手巻き」によるばね製作が課題になっています。様々な工具を駆使し製作するのですが、コイルを密着巻きにすることがとても難しいんです。
コイルばねの製作方法として基本となる手巻きでは、芯金のほか、芯金を固定し回転させる手巻き用治具、巻き始めの線材を芯金に引っ掛ける線止め、巻いている線材を押さえるピン、巻き終えた線材をカットする喰い切り、コイルのピッチを調整したり、引張ばねのフックを起こすためのハシ(プライヤー)などの工具が使用されます。
2.機械によるコイルばねの製作
一方、現在主流の機械によるコイルばねの製作では、手巻きと同じような芯金に巻き付ける旋盤式コイリング機と材料を送り出しコイリングピンに材料を押し付け、自動でコイリングと切断を行う方式があります。
後者のコイリングピンによる方式では、リールスタンドより出た材料が、まずストレートナーを通り材料の線ぐせが修正されます。次にフィードローラーによってワイヤガイドを通し加工部に送られ、コイリングピンにより材料が曲げられます。コイルばねのピッチは、コイリング動作と同期したピッチツールにより付加され、コイリング加工が終わると、カッティングツールと芯金により切断されます。
また、コイリングピンは1本方式と2本方式があります。コイル径が大きなものは2本ピンの方が安定します。
コイリングピンだけでなく、カッティングツールやフィードローラー自体の精度、それらの調整が製作するコイルばねの精度に大きな影響を及ぼします。
3.まとめ
今回は、コイルばねの製作と工具について、簡単に説明しました。
実際の製造現場では、さらに各社各様の治工具や調整方法にノウハウがあり、加工精度や生産効率の向上が図られています。
ばね工場を見学する機会がありましたら、治工具に注目してみてもおもしろいのではないでしょうか。