冷間成形と熱間成形

冷間成形と熱間成形

いつもご愛顧いただきありがとうございます。
今回は、ばねの製造方法である冷間成形と熱間成形について説明していきたいと思います。
どうぞお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

 

ばねの成形方法

私たちの身近にあるばねは、ほとんどが冷間成形ばねになります。

冷間成形ばねとは常温で成形するばねのことです。

ばね材料の代表的なものとして、SUP(ばね鋼鋼材)・SW(硬鋼線)・SWP(ピアノ線)

SUS(ばね用ステンレス鋼線)・SWOSC(オイルテンパー線)などがあります。

 

冷間成形

冷間成形ばねでよく使われる材料としては、SW(硬鋼線)やSWP(ピアノ線)やSUS(ステンレス鋼線)などがあります。

冷間成形ばね材料は、焼入れ焼戻しをしなくても最初から強度を備えている材料になります。

冷間成形は常温で加工するため、材料の温度のばらつきや加工中のひずみなどに影響されにくく、寸法や形状の精度を保つことが可能になります。

 

冷間成形ばね材料は、ばねの成形後に低温焼鈍(テンパー処理)を行います。

低温焼鈍(テンパー処理)をする目的を簡単に説明します。

  ①材料の機械的性質改善のため

   冷間成形ばね材料は冷間引抜加工を行って製造されているため、その時に発生した加工

   硬化を改善するために行います。

  ②有害な残留応力除去のため

   バネを成形するときに発生する有害な残留応力を取り除き、バネの寸法を安定させるために

   行います。

   有害な残留応力とは、バネを成形した後に材料が元の形状に戻ろうとして内部に発生する力

   のことをいいます。

熱間成形

続いて、熱間成形についてご説明します。

熱間成形ばねとは主に太物ばねのことをいい、熱間で成形するばねのことをいいます。

金属を加熱して軟らかい状態で加工する「熱間鍛造」は、常温の硬い状態で加工する「冷間鍛造」と比較して、複雑形状や大型部品の成形に有利となります。

材料はばね鋼鋼材(SUP)を使用します。

また、この名称で勘違いが起きやすいのが、ばね設計の初心者の方が間違えやすいSUPという記号を使う【ばね鋼鋼材】という材料規格の存在です。

「ばね鋼」という呼び方をするくらいだから、どんなばねも「ばね鋼鋼材」で製造されていると思ってしまいそうですが、実際にはそうではありません。

「ばね鋼鋼材」というばね材料の規格は、『熱間成形ばね』の材料規格になります。

(線径によっては冷間加工する場合もあります)

 

「ばね鋼鋼材(SUP)」は、JIS規格では線径が9mm以上からとなっています。なので主に太物ばねは熱間成形で製作されているといえます。

 

そして熱間成形用のばね材料(SUP)は強度が調整されていない材料になります。

加工する際には材料を真赤に熱してばねに成形した後に、焼入れ焼戻しをすることで必要な強度を出してばねにします。

 

まとめ 

いかがだったでしょうか。今回もまたばねを設計される際の参考にしていただければ幸いです。

 

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