若手社員奮闘記vol.3 ~ばねの公差~

若手社員奮闘記~ばねの公差~

いつもご愛読いただきありがとうございます。

このコラムでは、ばね会社に入社して2年目になる私「伊藤」が経験した体験談をともに【ばね】についてのあれこれを知識が浅い方でも分かるようにお話していけたらと思います!

3回目となる今回は【ばねの公差】についてです。
前々回のコラム【ばねの検査】にて、軽く触れていたのですが、今回もう少し詳しく話せたらと思います。

 

 

1.ばねの公差とは

今回お話する【ばねの公差】というものはJSMA(日本ばね工業会)というものを基準に決まっています。
その中でも1級~3級までの段階があり、弊社では2級を採用しています。


この3段階ある公差は簡単に説明すると、1級が凄く厳しい、2級が普通、3級が緩め位のイメージで決められています。
「公差」というものを簡単に説明すると形状の許容範囲の幅のことをいい、【ばねの検査】ではこの範囲に入っているかを測るということをしていました。

2.ばねの項目

一口に「公差」といってもばねには多くの項目があり、
一般的な圧縮ばねでも、材質(ビアノ線やステンレス線など)・線径(線の太さ)・外経(内径の場合もあります)・巻数・巻方向・自由長(フリーした時の長さ)・荷重などがあり、ばねの種類によってその項目が増えたりもします。

圧縮・引張り・ねじり・板 等それぞれのバネの形にこのような公差は存在して、どの形のばねにも10前後ずつ公差は存在します。
私も検査業務のOJTを受けている時に、実際に検査してみて公差の多さに驚きました!
また、それぞれの項目は公差の幅が違い、
板ばねの項目で例を上げてみると
板幅±0.15mm 板の長さ±0.5mm 穴中心から縁までの寸法±0.3mm
など場所ごとに公差が細かく設定されています。
この項目たちをクリアしたものがお客様の元へと届けられているのです。
しかし、複数箇所の公差が存在するばねを作っていくうえで稀に、公差から外れてしまうということが起こりえます。
これは、新規の特注ばねで起きることがある問題なのですが、お客様の提示した寸法、形状、数値で作ろうとする時に複数箇所の公差が存在する中で全てを公差内に収めようとすると1箇所だけ公差が外れてしまうということが起こりえます。

特注の製品はお客様が求めている寸法、形状、数値に近づけるのを優先するので、弊社が設けている公差の範囲を超えてしまうということがあります。
これは形状の都合上致し方ないもので、そのような場合は顧客側との使用上問題のない寸法・形状を相談のうえ制作します。


この話を聞いて、「公差から外れてるから駄目じゃないか!!」と思う方もいるかもしれませんが、それによってバネとしての機能が無くなるということはありませんのでご安心して下さい!

そもそも「公差」というものは「ばね」だけに存在しているわけではなく、ばねの材料などありとあらゆるものに存在しています。
それにより制作側が意図していなくても「公差」から外れる可能性は存在します。

材料との兼ね合いや先程の例のような特注の製品、試作の製品等では形状的に「公差」から外れることがあるというものもあるということです。

3.まとめ

今回は【ばねの公差】というものに簡単に触れて来ました。
このような「公差」という品質基準により弊社製品の品質は守られてます。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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