【線細工ばね選びのポイントを徹底解説!】具体的な使用事例もご紹介!

【線細工ばね選びのポイントを徹底解説!】具体的な使用事例もご紹介!

線細工ばねについて、「線細工ばねとは何か?」「線細工ばねの特性とは?」といった線細工ばねに関する基本知識から、実際にどの様な場所で使用されているのかという使用事例、そして線細工ばねを選ぶ際のポイントを解説しています。

 

 

 

 

1.線細工ばねとは?

線細工ばねとは、身近な家電・家具・日用雑貨から、工場で使われている電子機器まで、様々なところで使われているばねの一種です。
身近な例だと、眼鏡の金属フレームの部分にも線細工ばねが使われています。
また、ばねの一種と言っても、線細工ばねは用途に応じて金属線を曲げたり丸めたり捻ったりして様々な形に成型されるため、線細工ばねには決まった形がありません。
線細工ばねはこのように金属線(ワイヤー)の形(フォーム)を変えて作られるため、別名「ワイヤーフォーミング」とも呼ばれています。
ではそんな線細工ばねは、一体どこでどの様な役割を果たしているのでしょうか?
線細工ばねの主な役割はふたつあります。
ひとつめの役割は、形の維持や部品の固定です。
例えば、眼鏡の場合は線細工ばねがフレームとして使われており、そこで線細工ばねは眼鏡の形の維持や、レンズを固定する役割を担っています。
ふたつめの役割は、形そのものです。
例えば、金属線を成型して作られたオブジェやキーホルダーなどは、その材料である金属線が線細工ばねであり、その場合線細工ばねは形自体に意味があるため、形が役割となっているのです。
このように、線細工ばねは他のばねのように力を加えられたり、その力を反発したりというような働きはほとんどせず、形の維持や部品の固定をしたり、形そのものが役割になるなど、「一般的に想像されるばね」とは違った働き方をするユニークな「ばね」なのです。

 

 

2.線細工ばねの特性と規格

線細工ばねの特性
線細工ばねの特徴は、何と言っても「決まった形が存在しない」ということです。
他のばねは、その用途から細かな違いはあれど、大まかな形はどれも同じです。
ですが、線細工ばねは用途によって様々な形に作り替えられなければならないため、決まった形が存在しないのです。
線細工ばねの規格
決まった形が存在しない線細工ばねですが、中にはその形状が規格で定められているものもあります。
それは、スナップリテーナ(ダルマピン)とスナップピン(松葉ピン)というものです。
スナップリテーナ(ダルマピン)とは、丸溝や角溝加工をした軸に装着し、抜け止めとして使われます。
スナップピン(松葉ピン)とは、穴を開けたボルトに差し込むことでボルトの抜け止めや回り止め、連結や位置決めなどに使われます。
これらは、線細工ばねの中でも特に需要が多いため、JIS規格でその形状が定められているのです。

 

 

3.実際の使用事例

次に、線細工ばねが実際にどの様なところで用いられているかについて、実際の使用事例を紹介します。
コルク抜き
線細工ばねはコルク抜きにも用いられています。
コルク抜きはほとんどの一般家庭にも置いてあるため、誰しも一度は見たことがあるのではないでしょうか?
では、どの部分に線細工ばねが用いられているのかと言うと、それはコルクに刺さる部分の渦巻き状になっている金属線部分です。
コルクの最も重要な役割を担う部分と言ってもいい場所であり、金属線の形を成型してくつられているため、これも線細工ばねのひとつなのです。
自動車のシート
線細工ばねは自動車のシートにも用いられています。
そして、線細工ばねはシートの背もたれにクッション性を持たせるために使用されています。
クッションの内部は目にすることがあまりないため、分かりにくいかもしれませんが、線細工ばねは背もたれの骨組み同士を繋ぐように繋がれています。
私たちがシートにもたれかかったときに、柔らかすぎもせず硬すぎもしない程度の力で支えてくれるような働きをしています。
先述の通り、線細工ばねは力を加えられるような使い方はほとんどされないため、このような使われ方は特別だと言えます。
ビニールハウス
線細工ばねは農業のビニールハウスにも用いられています。
どこで使われているかというと、線細工ばねはビニールハウスの骨組みとマイカ線を固定するために使われています。
マイカ線とは、ビニールハウスのビニーが風で飛んでいかないように、ビニールを抑える役割をしているヒモです。
マイカ線はビニールハウスが受ける風の力をもろに受けるため、マイカ線がビニールハウスの骨組みから外れないよう、ここで使われている線細工ばねは強い力をかけられても壊れないよう強靭に作られています。

 

 

4.  線細工ばねを選ぶ際に見ていただきたいポイント

次に、線細工ばねを選ぶ際にはどの様なことに気を付けるべきかについて、具体的なポイントを説明します。

公差が許容範囲内かを確かめる!
線細工ばねを選ぶ際には、公差が許容の範囲内かを確認しましょう。
「公差」とは、同じ方法で製造しても発生してしまう可能性のある、形状のバラツキのことを言います。
全く同じ材料と製造方法を用いても、全てを完璧に同じ形で作るのはとても難しく、ひとつひとつ微細な形のズレがあるのです。
よって、線細工ばねが売買される際には、多少は形のズレは発生するという前提で取引が行われます。
この前提を考えると、線細工ばねを選ぶ際にはその公差が設計に問題がない範囲内かをしっかり確認しなければいけません。
この公差は、一般的に日本ばね工業会が設定したJSMA規格という、ルールに沿って運用されています。
ですが、中にはこの規格には規定されていない形状の線細工ばねも存在します。
不安なら試作品を注文してみる!
どうしても数値情報や文字情報だけでは不安な際は、試作品を作ってもらいましょう。
線細工ばねは、様々な形や材質のものがあるため市場から最適なものを見つけるのは簡単ではありません。
注文した結果、使用用途や環境に適していないものだった場合、自社の製品の品質も下がってしまいます。
品質や適正に少しでも不安がある際は、一度試作品を注文するというのもひとつの方法です。
製造メーカーと協力して最適なばねを見つけましょう。

 

 

5. まとめ

これまで線細工ばねについて、その基本知識や選び方のポイントなどについて説明してきました。
線細工ばねは他のばねよりも種類が多い分、最適なものを見つけるのは難しいかもしれません。
線細工ばねを選ぶ際には、今回紹介したポイントを踏まえて、よく情報を集めてから選びましょう