【皿ばね選びのポイントを徹底解説!】具体的な使用事例もご紹介!

【皿ばね選びのポイントを徹底解説!】具体的な使用事例もご紹介!

ノウハウ
今回は、使い方によって様々な効果を発揮する「皿ばね」をテーマに取り上げました。
皿ばねの概要から、種類と特性、実際の使用事例、また皿ばねを選ぶ際のポイントまで徹底解説いたします。
今回のコラムを通じて、皆様の中で皿ばねについての理解が少しでも深まりましたら幸いです。

 

 

 

1.皿ばねとは?

皿ばねについての理解を深めていただくために、まずは皿ばねの概要からお伝えいたします。
皿ばねとは、中心に穴が開いた円盤形のばねを円錐状にしたばね、です。
簡単に言うと、形状が底のない皿のようになっているばね、のことを指します。
皿ばねは英名でBelleville spring(ベリビルスプリング)と呼ばれますが、これは皿ばねの原理を発明したフランソワ・ベルビルに由来しているといわれています。
上側部分と下側部分から荷重を加え水平にたわませることでばね特性を発揮する皿ばねは、主に2つの効果を発揮します。
2つの効果とは、衝撃緩和やねじ・ボルトのゆるみ止めです。
また皿ばねは名前からもわかるように、小さく平たいため取り付けにスペースを必要としません。
従って、コイルばねといった他のばねが取り付けられない小さな取り付けスペースでも上記のような役割を果たすことができる点が皿ばねの特徴です。

 

 

2.皿ばねの種類と特性

皿ばねは他のばねが使えないような限られたスペースでもばね特性を発揮することができるということがご理解いただけたかと思います。
続いては、そんな皿ばねの種類と特性についてお伝えいたします。
種類
結論から申し上げますと、皿ばねは耐荷重と形状によって種類が分けられます。
まず耐荷重で考えると、皿ばねには重荷重用と軽荷重用という2つの分類があります。
これらの違いは、耐えられる圧力と皿ばね自体の大きさにあります。
というのも、重荷重用の皿ばねは大きな圧力に耐えることができる半面、全長が長くなり皿ばね自体が大きくなります。
一方、軽荷重用の皿ばねは全長が短く小さいためスペースを取らないというメリットがあるものの、耐えられる圧力の面では重荷重用の皿ばねに劣ります。
また、皿ばねは形状によっても2つの種類に分れることができます。
その2つとは、ダイヤフラムスプリングとクラウンスプリングです。
これらの皿ばねは、皿ばねに施されている加工に違いがあります。
前者は加工として切れ込みが入っていて、後者は加工として波ひだが施されている、という違いです。
このように、皿ばねは耐荷重の面で重荷重用・軽荷重用に、形状ではダイヤフラムスプリングとクラウンスプリングという種類に分けることができます。
特性
皿ばねの主たる特性は、数枚を重ねて組み合わせることでばね特性に変化をつけることができるという点にあります。
もちろん、皿ばね1枚でも衝撃緩和やゆるみ止めといった効果をもちますが、皿ばねについての理解を深めるためにも、ぜひ組み合わせによる活用方法を知っていただけらと思います。
さて、具体的な皿ばねの組み合わせ方とは、並列重ねと直列重ねという2種類です。
1つ目の並列重ねは、皿ばねを同一方向に重ねる組み合わせ方で、耐荷重を大きくするという点がポイントです。
それに対して直列重ねは、皿ばねを向き合うように重ねる組み合わせ方で、ばねのたわみを大きくすることができます。
このように、皿ばねは並列重ねや直列重ねなど組み合わせを工夫することで様々なばね特性を得ることができます。
ただ、皿ばねの組み合わせによる活用には1つ注意が必要です。
それは、並列・直列問わず皿ばねを組み合わせて使用する場合、ガイドと呼ばれる留め具のようなものを皿ばねに装着する必要があるということです。
理由としては、皿ばねを重ねた状態で圧力をかけると皿ばねがずれてしまう可能性があるためです。
ここで「ガイドを付ければいいだけか」と思った方がいらっしゃるかもしれませんが、そうではございません。
ガイドを装着すると皿ばねに生じる圧力・摩擦に変化が生じるため、得られるばね特性にも影響が出るのです。
従って、皿ばねを活用する、特に組み合わせて活用する場合はガイドを装着する必要があるという点をよく把握しておくべきでしょう。

 

 

3.実際の使用事例

皿ばねについて、だんだんイメージが湧いてきたでしょうか。
もっと皿ばねのイメージを具体化していただくために、皿ばねの使用例を2パターンに分けてご紹介します。
まず1つ目のパターンは、動荷重に対して使用される皿ばねです。
ここでお伝えする動荷重とは、時間の経過に伴ってばねに繰り返し圧力がかかるような荷重のことを言います。
具体的な使用例で言うと、自動車のクラッチやビルなどの免震装置などに使われている皿ばねはこのパターンに該当します。
次に2つ目のパターンは、静荷重に対して使用される皿ばねです。
静荷重とは動荷重の反対で、時間がたっても変化せず一定の圧力がかかるような荷重のことです。
実際の使用例で言えば、デジタル家電や工作機械用部品などにおけるボルトのゆるみ止めが挙げられます。
このように皿ばねは、圧力のかかり方が時間によって変化するかしないかの違いによって2通りの使われ方がされているのです。

4.  皿ばねを選ぶ際に見ていただきたいポイント

これまで、皿ばねの「概要」「種類と特性」「実際の使用事例」をお伝えしてきましたが、皿ばねについての理解は深まりましたでしょうか。
もし皆様の中で皿ばねについての理解が深まっていれば、
「実際に皿ばねを導入するときには何に気を付ければよいか」
ということが頭に浮かんでいるのではないかと思います。
そこでこのコラムの最後では、皿ばねを選ぶ際に確認していただきたい2つのポイントをお伝えしたいと思います。
ポイント①皿ばねの材料
皿ばねを選ぶ際に確認していただきたいポイントの1つ目は、皿ばねの材料に何が使われているかという点です。
なぜなら、皿ばねは材料によってさびにくさや耐摩耗性・耐衝撃性といった性能に差が生じるためです。
皿ばねの一般的な材料は炭素鋼・合金鋼・ステンレス鋼・銅合金など様々です。
そのため、どのような材料で作られているかを確認することが重要となります。
ポイント②皿ばねの高さと板厚
皿ばねを選ぶ際に確認していただきたいポイントの2つ目は、皿ばねの高さ(h)と板厚(t)です。
確認していただきたい理由は、皿ばねの耐荷重やたわみといったばね特性はこれら2つの要素で決まるためです。
実際に皿ばねを活用する際には、皿ばねの高さ・板厚からどの程度のばね特性が得られるのかということを確認することが必要です。

 

5. まとめ

今回は、ばねの中でも様々な用途が期待される皿ばねについて解説してきました。
お伝えしたように、皿ばねには様々な種類があり、ばね同士を組み合わせることでばね特性にも変化を出すことができます。
ただ、皿ばねは様々な使い方ができる分、自社ではどのように活用すればよいか、という疑問が生じることもあるかと思います。
従って、皿ばねの活用に不安がある方は、製造業者に直接問い合わせて自社のニーズをすり合わせながら特注するという選択肢を取ることをおすすめいたします。