【板ばね選びのポイントを徹底解説!】具体的な使用事例もご紹介!
1.板ばねとは?
板ばねをご紹介する前に、日常生活のなかのばねを見てみましょう。ばねは使用頻度の高い機器要素であり、洗濯ばさみやクリップ、自転車や自動車などの車両、クリップやシャープペンシルなどの文房具をはじめとする日用品の領域に大活躍しています。そのため、ばねに関する基礎的な知識を知っておくことは、機械設計などの専門領域だけでなく、日常生活への理解にも役に立てると考えられます。
今回のコラムでは板ばねを中心に、種類・特性・使用事例・選び方という4つの方面からご解説します。新製品の製造を考えている方、または受託製造業者を探している方ぜひご一読ください。
板ばねとは板状のばねであり、「板スプリング」とも呼ばれています。板ばねは最も歴史のあるばねの一つであり、初めて車両の製造に運用されるのは17世紀半ばのフランスでした。その後、世界中に広がり、現在でも自動車からクリップまで多様な領域に広く使われています。
(板ばねの製品例)
2.板ばねの種類と用途
薄板ばね
重ね板ばね
重ね板ばねはその名通り、複数枚の板状のばねを重ねて作られたもので、トラックのサスペンションが典型例としてよく挙げられます。特性として、複数枚のばねを重ねることで、使用時の応力が分散し、耐久力が高いことが知られています。
皿ばね
皿ばねは皿のような円錐状の板ばねを指します。コイルばねと似たような形状や機能を持っていますが、コイルばねが入らない、より狭い場所にも使用可能ですので、一定の需要があります。また、ねじの緩み止めの座金などとして使用されますので、大きな荷重を受けることができます。
渦巻きばね
渦巻きばねは、板・帯状の素材を渦巻に巻いたばねのことです。ぜんまいと似たような形状があるため、「ぜんまいばね」とも呼ばれてることもあります。ばねの端を引っ張ると、元も渦巻き状に戻ろうとする力が発生する特性があり、おもちゃや機械式時計などで活用されているばねです。
3.実際の使用事例をご紹介
前述の通り、板ばねはさまざまな形状がありますので、使用用途も多岐にわたります。この章では3つの典型的な使用事例をご紹介します。
トラックのサスペンション
板ばねは衝撃を吸収できる、つまり緩衝の機能を持っていますので、トラックなどの車両のサスペンションとして使われるケースが多いです。サスペンションとは車体とタイヤの間にあって衝撃を吸収するものです。板ばねは強度が強く、耐久性も良いので、大型の機材で重宝されています。
クリップ
皆様は書類を挟む際にクリップを使う経験があると存じますが、そのハンドル付きのクリップも板ばねの使用事例の一つです。板ばねは物を挟み締めつける機能があり、ボールペンのクリップ部分など、様々な文具で板ばねは用いられています。
アーチェリーの弓
前段でお伝えしたように板ばねは「復元力」がありますので、元に戻る力を利用した道具にも使われています。身近な使用事例として、アーチェリーの弓が挙げられます。そのほか、水泳の飛び込み台、オルゴールなども板ばねの復元力を活用する代表例です。
4.板ばねを選ぶ際に見ていただきたいポイント
板ばねは多用な領域に可能性がありますから、最後に、板ばねを活用したい方に板ばねを選ぶ際に見ていただきたいポイントをご紹介します。
使用用途や求める特性を明確に!
先述の通り、板ばねは大きく4種類(薄板ばね、重ね板ばね、皿ばね、渦巻きばね)×3用途(緩衝、締結、復元)に分類できますので、さまざまな種類があります。したがって、板ばねを利用したい場合、使用用途および求める特性を考えた上で、最も相応しいものを選んでいただければと存じます。
板ばねの材質に注目!
技術の発展の伴い、板ばねの材質にもさまざまなものあります。大きく分けると、「金属」と「非金属」がありますので、選ぶ際に、異なる材質のメリットを把握しておくことが重要です。
金属で作られた板ばねはコストが低い、大きな荷重に耐えられるなどメリットがあります。一方、非金属の場合、コストはやや高いですが、金属系より軽くて汎用性が高いなどのメリットがあります。
板ばねの生産規模に注目!
板ばねの加工は「少量生産」と「大量生産」があります。少量生産(一般的には、500個以下の場合を指す)の場合、ほぼ手作りであるため部品の単価は高く、精度は保証できません。大量生産の場合、加工機を使用するため加工費が安くなり、1個あたりの単価が低下していくというメリットがあります。
5. まとめ
以上、板ばねについて、板ばねの定義と別称、その形状上の分類と特性をご説明したうえ、板ばねの実際の使用事例および選ぶ際のポイントという流れでご解説しました。
お伝えしたように、板ばねには様々な種類があり、生産から日常まで幅広く使用されています。今回のコラムを通じて、板ばねへの理解を促進できればと思います。さらに、ばねの製造依頼や設計に役立てていただければと考えます。今後は、ほかの種類のばねもご紹介いたしますので、ぜひご一読いただけますと幸いです。
板ばねの製造・設計にお興味がある方は、製造業者に直接問い合わせて自社のニーズをすり合わせながら特注するという選択肢を取ることをおすすめいたします。