圧縮ばねの設計例

 

 

 

下記条件で設計・計算例を提示します。
条件:コイル外径50mm以下
    第1取付高さ   120mm
    第1荷重    200N(20.4kgf)
    第2取付高さ   90mm
    第2荷重       300N(30.6kgf)
    使用環境      外気に触れる所
外気に触れる、またばねの表面処理を特に行わないという事で材質はばね用ステンレス鋼線を選択しました。
下記表にて設計した事例を示します。

下記にて設計計算事例の詳細を示します。
ばね定数は、上記条件より
     
                  ばね定数 = (300N-200N) ÷ (120mm - 90mm)
          = 3.33N/mm
   
仮に線径4.5mm・ばねのコイル外径を50mmで計算します。
この時の横弾性係数「G」は68,500 コイル平均径「D」は45.5になります。
   
ばね定数の計算式  
                  
                k=(G×d^4)/(8×Na×D^3) より
   
有効巻数を逆算できます。
         Na=(G×4.5^4)/(8×3.33×45.5^3)
            =11.19巻
   有効巻数11.2巻となります。
密着長さを計算します。
JISの設計では先端を3/4研磨となっておりますので先端厚みは約1.125mmになります。
        密着長さ = 4.5×(13.2-1)+1.125×2
             = 57.15mm
第2取付高さの時のねじり応力(静荷重使用)を計算します。
       ねじり応力=(8×D×P)÷(π×d^3)
            =(8×45.5×300)
                   ÷(3.14×4.5^3)
            =381N/mm^2
       応力修正係数=(4×C-1)÷(4×C-4)+
                0.615÷C
            =(4×10.1-1)÷(4×10.1-4)+
                0.615÷10.1
            =1.14
      ねじり修正応力(静荷重使用)=応力修正係数×ねじり応力
                    1.14 × 381
                    =434 N/mm^2
「応力のとり方」文中の図1より許容ねじり応力は620N/mm^2)になります。
常用応力としてこの値の80%以下にとるのが望ましいので
      許容ねじり応力 = 620 × 0.8 =496N/mm^2
  
充分満足できる仕様と思われます。
同じ条件で、ばねの軽量化を図るべく線径をJISの規格線径の一つ細いもので計算してみます。
ばね定数は、荷重条件が変わっていないので同じばね定数になります。
コイル平均径は線径は細くなった分少し大きくなります。コイル平均径「D」は46になります。
有効巻数を先のばね定数より計算します。
      Na=(G×4^4)/(8×3.33×46^3)
        =6.76巻
有効巻数6.8巻となります。
巻数が減り軽量化がなされました。
  前述の線径4.5mmと同様、密着長さを計算します。
     密着長さ=4×(8.6-1)+1×2
         =32.4mm
  密着長さも低くなりました。
第2取付高さのねじり応力を計算します。
     ねじり応力=(8×D×P)÷(π×d^3
          =(8×46×300)÷(3.14×4^3)
          =549N/mm^2
     応力修正係数=(4×C-1)÷(4×C-4)+0.615÷C
           =1.12
     ねじり修正応力(静荷重使用)=応力修正係数×ねじり応力
                   =1.12×549
                   =614N/mm^2
線径が4.5mmの時より応力値が高くなりました。
「応力のとり方」文中の図1より許容ねじり応力は640N/mm^2)になります。
常用応力としてこの値の80%以下にとるのが望ましいので
      許容ねじり応力 = 640 × 0.8 =512N/mm^2
ねじり応力値は、許容ねじり応力より少し高い値になります。
使用状況としては厳しい仕様の可能性があります。