ばねを強くするには?
ユーザーからの問い合わせのなかで特に多いものの中に、『ばねを強くしたいんだけど』という相談があります。
ばねを強くするという意味はいくつかあり、ユーザーの要望もそれぞれあります。
ここでは、ばねを強くする意味別とその方法・注意事項を紹介したいと思います。
ばねを強くする意味
① ばね定数を大きくしたい
② 取付荷重を大きくしたい
③ へたりが少ない(寿命が長い)ばねにしたい
① ばね定数を大きくする
1 材質の変更
横弾性係数の大きな材質を選択する事により、ばね定数が大きくなり、ばねは強くなります。ばね用ス
テンレス鋼線の横弾性係数は68500N/mm2 ピアノ線の横弾性係数は78500N/mm2の為、同じ仕様
のばねであれば、ピアノ線で製作したばねは、ばね用ステンレス鋼線で製作したばねよりばね定数が
約10%ほど大きくなります。
◇注意事項
材質ごとに許容限界が違うため応力計算を見直したり、使用環境に合った材質を選定しなければならない。
2 有効巻数を減らす
ばねの有効巻数を減らすことによって、ばね定数が大きくなり、ばねは強くなります。ばね定数の計算
式をみれば、有効巻数は分母にあるためばね定数は大きくなります。
ばね定数=(横弾性係数×線径^4) /(8×有効巻数×平均径^3)
◇注意事項
有効巻数を減らすため、ばねのピッチが広くなり、場合によっては製作が困難となる。また取付時の荷重が増
大するため許容限界を超えて、ばねがヘタる可能性が生まれる。
3 線径を太くする
ばねの線径を太くすれば、ばね定数が大きくなり、ばねは強くなります。ばね定数の計算式をみれば、
線径を4乗するため想像以上にばね定数は大きくなります。
◇注意事項
線径を太くするため、ばねの密着高さが増しタワミ量(ストローク)が減少する。ばね定数が大きくなるというこ
とは、同じタワミ量を与えると、取付時の荷重が増大し許容限界を超えて、ばねがヘタる可能性が生まれる。
4 コイル径を小さくする
ばねのコイル径を小さくすることで、ばね定数が大きくなりばねは強くなります。
ばね定数の計算式をみれば、平均径は分母にあるため、ばね定数は大きくなります。
◇注意事項
コイル径が変わるため、ばねの取付・その他に影響がでる場合があり、また取荷荷重が増大し許容限界を超え
て、ばねがヘタる可能性が生まれる。 また、線径に対する平均径が小さくなる為、ばね指数(D/d)によっては
製作不可となるケースもでてくる。
② 取付荷重を大きくする
1 ばね定数を大きくする
その①で紹介した方法で行います。また注意事項も参考にして下さい。
2 圧縮ばねの場合は自由長を長くする
有効巻数はそのままで自由長を長くする事で、ばね定数は変わらず取付時までのストロークが増えて
取付荷重を大きくします。
◇注意事項
有効巻数はそのままで自由長を長くするので、ばねのピッチが広くなり、場合によっては製作が困難となる。
また取付時の荷重が増大するため許容限界を超えて、ばねがヘタる可能性が生まれる。
引張ばねはその逆で自由長を短くするが、フック部形状など制限も多い為、設計には様々な注意点がある。
③ ヘタリが少ない(寿命が長い)ばねにする
現在の使用状況や環境をお伺いして、ばね設計を見直してみてはいかかでしょうか。繰り返し寿命を
あげるためには、荷重時の応力を下げる事が重要です。
まとめ
ばねを強くするには様々な方法があることはご理解いただけましたでしょうか?
ばねは使用状況や環境にあわせて、材質の選択や適切なばね設計が必要になります。
必要以上の安全性を持たせたばねは、材料費がかさみコスト高となったり、またばねに過度な荷
重(ストレス)を与えれば、ヘタリや折損事故などのトラブルを抱えることとなります。
お客様のご要望にあわせて、『特注ばね即納.com』では様々な相談に応じておりますので、
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