最新のばねの市場状況について【2020年度統計】

最新版ばねの市場

 

いつもご愛読いただきありがとうございます。
今回は2020年におけるばね製品の統計に関して解説させていただきます。

 

 

1.ばねの市場

 

日本のばね産業を表す統計の一つに「経済産業省生産動態統計」があります。この調査は、経済産業省が鉱工業生産の動態を明らかにし、鉱工業に関する施策の基礎資料を得ることを目的としています。

ばねについては、日本全国の従事者30名以上のばね生産事業所を対象に「ばね月報」として次のような品目及び事項にて月次で調査を行っています。

調査品目
かさね板ばね
つるまきばね
ねじり棒ばね
線ばね
-自動車用(シート用ばねを除く)
-その他の線ばね(機械用・シート用ばねを含む)
うす板ばね
ばね座金
調査事項

○製品に関する事項
 生産(重量・金額)
 受入(数量)
 出荷販売(重量・金額)
 月末在庫(重量)

○労務に関する事項
 月末従事者数(ばね部門・事業所)

○生産能力・設備に関する事項
 生産能力(熱処理炉の能力・自動コイリングマシンの能力)

 

今回はこの経済産業省生産動態統計の中から「ばね」(従業者30人以上)について、
2020年通期(1月~12月)の生産及び販売のデータを集計しご紹介します。

2.総合調査結果

集計データによりますと、

・2020年のばね生産金額合計は2840億5800万円となり、前年比11.7%の減少、
・生産重量合計は35万3698トンで前年比16.8%の減少、販売金額合計は3074億6700万円で前年比11.0%の減少、
・販売重量合計は38万606トンで前年比15.9%の減少となりました。

 

2020年のばね生産・販売の詳細は次のとおりです。
生産・販売全てが減少しております。

 

・2020年通期のばね生産金額合計は2840億5800万円(前年比11.7%減)、
・生産重量合計は35万3698トン(同16.8%減)、
・販売金額合計は3074億6700万円(同11.0%減)、
・販売重量合計は38万606トン(同15.9%減) となりました。

 

ここ数年は順調に推移していましたが、2019年に減少に転じ、2020年は新型コロナウイルス感染症による影響を大きく受けて、
生産金額、生産重量、販売金額、販売重量全てが前年比で1割以上のマイナスとなりました。

3.品目別調査結果

①かさね板ばね
かさね板ばねの生産金額が195億4200万円(前年比19.9%減)、
生産重量が5万3840トン(同24.5%減)、
販売金額が230億700万円(同19.8%減)、
販売重量が7万2418トン(同20.9%減)となりました。
②つるまきばね
生産金額が185億1600万円(同22.7%減)、
生産重量が7万1171トン(同20.8%減)、
販売金額が186億1000万円(同22.6%減)、
販売重量が7万892トン(同20.7%減) となりました。
③ねじり棒ばね
生産金額が209億5500万円(同14.6%減)、
生産重量が5万3482トン(同16.8%減)、
販売金額が240億2000万円(同15.2%減)、
販売重量が5万3513トン(同16.9%減) となりました。
④線ばね
生産金額が914億1400万円(前年比12.9%減)、
生産重量が8万2869トン(前年比13.0%減)、
販売金額が1006億9200万円(前年比11.8%減)、
販売重量が8万7258トン(前年比12.5%減) となりました。
⑤線ばねの自動車用(シート用ばねを除く)
生産金額が532億4100万円(前年比15.5%減)、
生産重量が5万3826トン(前年比14.2%減)、
販売金額が578億4900万円(前年比14.2%減)、
販売重量が5万5374トン(前年比14.1%減) となりました。
⑥線ばねのその他の線ばね(機械用・シートばねを含む)
生産金額が381億7300万円(前年比9.1%減)、
生産重量が2万9043トン(前年比10.7%減)、
販売金額が428億4300万円(前年比8.2%減)、
販売重量が3万1884トン(前年比9.5%減) となりました。
⑦薄板ばね
生産金額が1301億4400万円(前年比6.6%減)、
生産重量が8万4859トン(前年比10.0%減)、
販売金額が1375億1800万円(前年比5.7%減)、
販売重量が8万8987トン(前年比9.2%減) となりました。
⑧ばね座金
生産金額が34億8800万円(前年比22.4%減)、
生産重量が7476トン(前年比24.1%減)、
販売金額が36億2000万円(前年比21.5%減)、
販売重量が7537トン(前年比22.6%減) となりました。

 

4.まとめ

2020年の「ばね」は、やはり新型コロナウイルス感染症の影響を受けて大幅な減少となりました。
2017年、2018年は、世界経済の拡大に伴う輸出や設備投資の増加を受け、景気は緩やかに回復基調となっていましたが、2019年に入り米中貿易戦争が顕著化、先行き不透明感が高まり「ばね」もマイナス局面を迎えました。

そんな中、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に全世界に拡大、2020年の経済活動に大きな影を落としております。

2021年は、新型コロナウイルスの影響が続く中で、「ばね」においては、年初より自動車産業の急回復を受けて、一部増加の数値も出ておりますが、世界的な半導体不足という新たな問題も発生し、再び不透明な状況となっております。
2021年の「ばね」はどのような状況になるのでしょうか。経済産業省生産動態統計のデータが出そろいましたら、また集計してご紹介いたします。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。