【ばね指数について】
いつもご愛顧いただきありがとうございます。
今回は、ばねの設計をする上で重要な指標となる「ばね指数」についてお話します。
ばねを設計しようと思っている方には是非知ってほしい値となります。
分かりやすく解説していこうと思いますので、最後までお付き合いお願いいたします。
ばね指数って何?
ばねの設計は適切な形状や材料の選択、加工・熱処理、許容応力などがポイントになってきます。
そういった仕様要素の選択肢ほぼ全てに影響を与えるのが、ばね指数です。
ばね指数とは、ばねのコイル平均径と材料の線径の比のことで、ばねの特性(反発力の傾向・負担のかかり方 等)の印象を表現することに用いられるだけでなく、加工性(コイリング難易度・バラツキやすさ 等)に直結する指数であり、我々加工メーカーにとっても図面から得られる重要な数値です。
このばね指数は計算で求めることができます。
ばね指数(D/d)= コイルの平均径(D)÷線径(d)です。
そのまま記号を読んだD/d(ディーバイディ)とも呼ばれています。
ばね指数の目安ってあるの?
それでは、何をどう確認しているのかご説明していきます。
ばね指数には目安になる値がありまして、冷間加工の場合D/d4~22、熱間加工の場合D/d4~15の範囲で設定することが望ましいです。
製作上において理想的な数値は?と言えば、D/d7~13程度になるでしょうか。
冷間加工品でD/d 4未満やD/d 22以上の場合、製作できる設備・方法が限られてきてしまい、平凡なばねとは言えなくなります。
手加工や加工不可となることも多く、その旨を伝えると、ばねを収めるスペースから設計修正になることも偶にあります。
また、特性面では、ばね指数が小さくなるほど、ばねは硬く(反発力が強い)局部応力が過大になっていきます。
逆に、大きくなるほど柔らかく、形状が不安定になっていきます。
これは圧縮ばね・引張ばね・ねじりばねなど、全てのばねに同じことが言えます。
目安を超えるとどうなるの?
先の部分での説明の通り、ばね指数が目安外になると難易度が高めのばねになります。
ばね指数が小さい場合、線径によっては製作が不可能ということもあります。
また、ばね指数が大きいと形状が安定しなくなるため、仕様要素に大きめの公差が必要になることがあります。
▼ ばね指数による「ばね」の違い
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ばね指数が小さい場合 |
ばね指数が大きい場合 |
製作例
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ばね指数 |
D/d 2.75 |
D/d 29 |
加工性 |
加工が困難 |
加工が困難 |
現象1 |
局部応力で折損しやすい |
ばねの絡みが発生しやすい |
現象2 |
ばねが自立しにくい(倒れやすい) |
変形しやすい |
現象3 |
ばね定数が高くなりやすく、少ないたわみで扱いづらい |
荷重が安定しにくい(ばね定数は低い傾向) |
現象4 |
専用機が必要な場合もある |
コイル径、ピッチ、初張力などのバラツキが大きくなる |
まとめ
ばねを使用する前提で重要なのは、「取り付けられる周りの環境から設計する」ではなく、「ばねに必要な特性から、取り付けスペースを予め確保しておく」ことが大切になります。
あとはばねの取り付けだけとなった時、使用感に安定性が無いのは機能としていただけませんね。
いかがだったでしょうか?参考になれば幸いです。
ばね指数の不適正をわかって使用する場合もあり、弊社ではD/d4以下、またはD/d22以上での加工実績も多くございます。
設計・加工の可否について相談したいときは、お気軽にお問合せ下さい。
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