【教えて!ばね博士】① ねじりばね機械の進化(トーションマシン編)
『ばね博士』
前回は、圧縮ばねを作る機械で話したけど、今回はねじりばねを作る機械(トーションマシン)について話そう。
『新入社員』
前回の話もたいへん面白く伺いましたが、今回のねじりばねを作る機械(トーションマシン)もたいへん興味深いので、ぜひお願いします。
『ばね博士』
現在のトーションマシンもコイリングマシン同様、コンピューター制御された機械が主流であることは間違いない。ばね製造の機械化はヨーロッパやアメリカなどの海外がいち早く手掛けて進化してきた。私が知っている古い機械が先ずは横型のトーションマシンである。現在、現役でねじりばねを製造しているばねメーカーもあると思われるが、イラストにあるような構造をしている。
『新入社員』
芯金(丸棒)に巻き付けていく手巻き治具を機械化した構造ですね。
アーム先端の曲げ加工はできるんですか?
『ばね博士』
横型と呼ばれる理由は、コイル部が横方向に巻かれていくからなんだよ。
簡単な曲げ加工(90度曲げ等)は、上下にスライドが付いているから、加工は可能だね。
次の進化が、マルチトーションマシンと呼ばれたものなんだけど、知っているかな?
『新入社員』
聞いたことがないですね。どんなものなんですか?
『ばね博士』
イラストからもわかる通り、マルチトーションマシンになると、コイル部が縦方向に巻かれ(縦型トーションマシン)、曲げスライドは360度自由なところからの取付可能となった。そのことにより加工の自由度が増え、横型トーションマシンよりも複雑な形状をしたねじりばねができるようになった。
『新入社員』
そうなんですね。確かにイラストを見ると、コイルを巻くスピンドルが縦軸にありますね。
『ばね博士』
さあ、次は最新の機械を解説しよう。
先ず、圧縮ばねを作るコイリングマシンの時にも説明したけれど、トーションマシンも同様に最新の機械は、材料の送り・先端曲げ角度などがコンピューター制御されている。
加工の自由度が圧倒的に増えた機構(私だけがそう感じているかもしれない)『ロータリークイル』と呼ばれるものだ。
『新入社員』
その『ロータリークイル』とはどんなものなんですか?
『ばね博士』
画像を見てみると材料を支えているガイドで、クイルと呼ばれるツールがあるんだが(赤丸印)、少し前の機械にも同様なものが付いていた。クイルの役割は、材料を押し出すガイド役・材料の切断ツール・アーム曲げとしてのツールの役目をしている。以前のクイルは固定だったが、今の機械はこのクイルが回転するんだ。回転することによって、ツールの入るスペースを作ったりいろいろな製作アイデアが生まれ、より複雑な製品を加工することを可能にした画期的な機構、それが『ロータリークイル』なのだ。
『新入社員』
すごい技術革新だったんですね。
『ばね博士』
コンピューター制御だからこそできる、ロータリークイルの加工が生かされていると思うよ。
『新入社員』
何気なく今の機械を見てましたが、この数十年で物凄い進化をしたんですね。
たいへん参考になり、面白かったです。
次回はどんな話をしていただけるのですか?
『ばね博士』
実はまだ決まってないんだよ。貴方はどんな話がいいのかな
『新入社員』
・・・? 圧縮ばね・ねじりばね ときましたから、次は引張ばねを作る機械の話でどうでしょうか?
『ばね博士』
そうだね。では次回は【引張ばね機械の進化】でお話ししようか。
『新入社員』
よろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。